477市町村で交付不足 国保調整金、厚労省がミス 保険料引き上げられた恐れ 那覇市指摘で放置発覚 (1)
記事:共同通信社
提供:共同通信社
【2007年6月27日】
厚生労働省は26日、国が市町村に交付する国民健康保険の特別調整交付金で、同省の算定方式にミスがあり、1996年度から2005年度の間、毎年370市町村から477市町村で交付額が不足していた疑いがある、と発表した。
同じく235-339市町村では交付額が過大となっていた。交付ミスは93年度から続いており、不足、過大を合わせた影響額は数百億円に上るとみられる。同省国民健康保険課は「チェックが不十分で、おわびする」と陳謝している。
昨年秋のシステム改修の際、厚労省の担当者がミスに気付いたが、上司に知らせないまま放置。今月上旬に那覇市から指摘を受けた際もこの担当者が報告を怠り、今月下旬の地元紙の報道で発覚した。
不足が生じた市町村では、加入者の保険料(税)が引き上げられていたなどの影響が出ていた恐れもある。厚労省は07年度以降の交付金で過不足を調整する方針。不足分は補てんされるが、過大交付のあった市町村は減額されることになる。
市職員がミスに気付いた那覇市によると、96年度から05年度までの10年間で同市は約5億5000万円の不足が生じていたという。
このほか、不足が生じたのは結核や精神疾患の医療費が高額の市町村で、四国と九州に多いという。過大だったのは暖房料加算がある北海道、被爆者の医療費が高い広島、長崎両県などの市町村。
厚労省は93年度にシステム開発会社4社と共同で算定ソフトをつくったが、ソフトの設計仕様に最初から一部間違いがあった。各市町村は厚労省からの補助金を受けて、4社のいずれかからソフトを購入していた。
特別調整交付金は、結核や精神疾患の患者が一定数以上いたり、災害で保険料を減免するなどした市町村を対象に交付される。05年度は2317市町村に総額1161億円が支給されていた。
国民健康保険 農林水産業や自営業者の公的医療保険として始まったが、現在は無職者と高齢者で5割を超える。所得は低いのに医療費は多く、所得に対する保険料負担率が高い。負担軽減のためさまざまな形で公費が投入されている。さらに赤字穴埋めなどのために市区町村が一般会計から特別に支出している法定外繰入金は、2004年度は3855億円。ほぼ一貫して増加しており、市区町村は公的医療保険制度の一本化を主張している。保険料の収納率向上のため、保険税として徴収しているところも多い。