米国食品医薬品局(FDA)は、2007年3月29日、パーキンソン病治療薬ペルゴリド(日本における商品名は「ペルマックス」)が、製造会社により市場から自主回収されることになったと発表した。以前から懸念されていた心臓弁膜症リスクを確認した新たなデータの論文発表を受けての決定だ。
ペルゴリドは、麦角系ドーパミン作動薬で、パーキンソン病の症状の管理を目的として、レボドーパ、カルビドーパと併用されてきた。この製品と心臓弁の異常との関係が最初に指摘されたのは2002年だ。2003年にFDAは、明確な因果関係は示されていないとしながらも、Lilly社に対し、「ペルマックス」のラベルに警告を追加するよう求めた。2006年には、最も強力な黒枠警告に変更されていた。
さらにNEJM誌2007年1月4日号に掲載された2つの論文は、ペルゴリドと心臓弁膜症の関係を再確認し、心臓の僧帽弁、三尖弁、大動脈弁の逆流を増やすことを示した。死亡例の報告はないが、放置すれば心不全などが発生する恐れがあり、弁置換手術が必要になる場合もある。
今回、市場からペルゴリドが消えることになるが、現在使用している患者にとって突然の使用中止は危険であるため、患者はペルゴリドの使用を継続しつつ、代替治療について主治医に相談することになった。
米国では、Eli Lilly社が1989年にこの製品の市販を開始、2005年に米国Valeant Pharmaceuticals International社が販売を引き継いだ。また、米国Par Pharmaceutical社とイスラエルTeva Pharmaceutical Industries社が、ジェネリック製品を市販している。
日本を含む米国以外の国では、Lilly社が現在も市販を続けている。「日本では、どのように対応するか、厚生労働省に相談をしている。一両日中に対応を決定する予定」(日本イーライリリー広報)だという。