厚生労働省は10日、4月にスタートした後期高齢者医療制度で、75歳以上のお年寄りが3月まで使っていた旧保険証を医療機関に持参した場合も、窓口で全額自己負担を求めないよう、全国の病院と診療所に指示する通知を近く出すことを決めた。新たな保険証が高齢者本人に届かないトラブルが相次いでいることへの対応。
医療機関が今月分の診療報酬を請求する5月10日ごろまでは、国民健康保険や健康保険組合などの古い保険証を「有効」扱いとし、従来通りに原則1割の窓口負担で受診できるよう徹底する。
75歳以上の約1300万人は全員が4月1日から新制度に切り替わったが、新たな保険証が手元にない人への医療機関の対応がまちまちとなっていた。いったん医療費全額を請求するケースもあり、高額な支払いに窮する高齢者が出ているとの指摘があった。厚労省は、都道府県や医師会などにも協力を求め、周知に努める。
新たな保険証が手元に届かないのは、市町村が「転送不要」の配達記録郵便で送付したり、本人が届け出なく転居したため。受け取ったものの、間違って捨てた人もいるとみられる。